麻耶雄嵩『神様ゲーム』
今回の本はこちら~~!
なんちゃらゲームっていうタイトルって、昔からなんとなく好きです。
私はどちらかというとほんわかハッピーエンド系よりも、始終暗くてぞくぞくするミステリーとかホラー系の作品が好みで、なんちゃらゲームが題名の作品は後者の傾向が強いかなあと思うから、ついつい手にとってしまいます。
中二心がくすぐられるあの感じ、なんとも言えません。
そんなわけで本屋さんで出会った『神様ゲーム』のあらすじはこちら。
以下引用は裏表紙から。
ぼくの住む町で、連続して意味ありげな猫の殺害事件が発生。ぼくは同級生と結成していた探偵団で犯人捜しを始めることにした。
そんなとき、転入したばかりのクラスメイト鈴木君は「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ」って言うんだ。
嘘つき? それとも何かのゲーム?
その数日後、ぼくたちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。
猫殺し犯がついに殺人を!?
ぼくは「神様」に真実を教えてほしいとお願いをしたんだ。その真実はぼくにとって最悪と思っていた真実よりも最悪で……
今気が付いたんですが、わたしが購入した『神様ゲーム』、カバーがふたつついていました。(!?)何かのキャンペーンだったのかな……。
上の作品紹介は主人公芳雄が語り手となっています。
一応もう一方の作品紹介も引用しておきます。
神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか。神様シリーズ第一作。
書いてあることはほとんど同じですね。
わたしは芳雄視点のほうが好きです。合間合間でよっ!いいぞ~~!!って囃し立てたくなるから。
内容に入っていくんですが、全体を通してなにかが起こりそう……!っていう恐怖感や緊張感がずっと続いていて、いい意味でひやひやしながら読み進められる作品でした。
特に、芳雄が所属する浜田探偵団が拠点にしている廃墟で、団員が同級生で芳雄の親友の死体を発見する場面は、まるでホラー映画を観ているみたいな臨場感で、本を読んでいるのに思わず目を閉じてしまいそうになりました。
後ろ振り向いたら絶対いるやつじゃん!!!みたいなのがガンガンきます。
ところで町で勃発している猫殺しと、廃墟で起きた殺人事件は実は全く関連性のないものですが、物語内では登場人物たちが関係があるものとして推理をしていくので、良い感じに推理が邪魔されて面白いです。
猫殺しの謎解きは物語の序盤も序盤で終わってしまっていることに読了してから気づかされるときのあの感じね……。
この物語でのキーパーソンはいわずもがな自称「神様」・鈴木太郎君です。
鈴木君は「神様」なので、もちろん全知全能。
鈴木君に気に入られた芳雄は、「神様」の持つ、「天誅」という人知の及ばない手段で親友を殺した犯人とその共犯者を罰してもらい、それによって殺人事件の真相が解明されていきます。
嘘です。
「芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか。」と作品紹介にもありますが、芳雄だけでなく、物語を読み終えた読者も転校生・鈴木君を信じるか、疑うかどうすればいいのか困惑してしまいます。絶対。
というのも、理論的に考えれば共犯者であるべきの人物……ではない別の人物に「天誅」が下るんです!
そして芳雄は「神様は間違えない」と、その事実を受け入れ、物語は幕を閉じます。
え~~~~~~?????みたいな。
謎がとけてめちゃくちゃすっきりしてたのに、どういうこと????みたいな。
気になりすぎて、読んですぐ「神様ゲーム 解説」で検索をかけて他の人の感想を読み漁ってみました。
上の解説が本当に本当に丁寧で面白いので、もやもやする人は読もう。
神様を信じるなら、共犯者は母親。
神様を否定するなら、共犯者は父親。
読者が神様を信じるか否かで、事件の真相が変わるのが、この物語なんだって。
最初から最後まで神様に踊らされてる感じがして悔しいです、悔しいけど面白い。
解説を読んで、この物語がとても絶妙なバランスで、きわめて繊細に作られていることに改めて気づかされました。
考察とかじゃなくてあらすじと感想をだらだら綴っただけになってしまいましたが、たまにはこういうのもいいかな……まだ三冊目だけど……。
それにしても、ミチルちゃんがとてもとてもいいキャラクターでした。
強かな女の子、嫌いじゃない……!